【求心力と遠心力】
「バベルの塔」の物語を読んで気づかされることですが、たいへん興味深いことに、同一性や均一性による「求心力」に腐心したのは人間なのであって、神さまは逆に「遠心力」によってそれを阻止し、人間の多様性や多元性を良しとされました。考えてみれば、神さまの創造された被造物は実に多様性に満ちています。多様でありながら、互いに生命世界に参与し、影響し合っています。
「バベルの塔」が破壊され、人間が違った言語を持たされ、異なった地域に散らされていったことを、「罰」として消極的に理解するのか、それとも「恵み」として積極的に理解するのか。そこに「人間社会」「人間関係」のイメージの違いがあらわれていくように思います。
人間の歴史を振り返るなら、一つの民族による他の民族支配が画策されるとき、言語や文化の強要が行われたことを私たちは知っています。人間はいつの時代も、同一性による求心力を手にしたいという欲望を持っていて、それが肥大化し「有名になろう(名をあげよう)」とするのです。つまり、神になりかわって支配者になろうとするのです。そこに悲劇が産み出され続けました。同一性を志向することが、逆説的ですが、共に生きる妨げになってしまう。それが人間の深刻なパラドックスです。
多元性、多様性へと遠心力を発揮される神さまの御業は、やはり「恵み」として理解したいと思います。
●6月5日週報巻頭言 吉高 叶
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