イエスがある所で祈っておられた時、弟子の一人がその祈りが終わるのを待ちかねていたかのように、こう求めました。「主よ、ヨハネが弟子たちに教えたように、わたしたちにも祈りを教えてください」（ルカによる福音書11：1～）この弟子の願い求めは、現代に生きるわたしたちにも当てはまる事柄です。わたしたちも、何をどのように祈ればよいのか、往々にして分からなくなることがあるからです。
  この問いに応える際に、イエスが示された祈りが「主の祈り」と呼ばれている祈りでした。これは、初代教会の礼拝のなかでの定型的に受け継がれていた祈りであったと考えられています。
  今週と来週の二度にわたって、この主の祈りの文言をたどりながら、礼拝説教のみ言葉として分かち合います。主の祈りはその前半部分が、父なる神に関する祈りであり、後半が「わたしたち」に関する祈りです。いわば、垂直方向の祈りと水平方向の祈りを併せ持つかたちで、この祈りは構成され、今日でも、教派を超えたほとんどの教会で礼拝の中で唱和される祈りとなっています。この祈りの意味内容を、二週にわたって学びます。

●2月2日   週報巻頭言  牧師 木村一充