「生きていて欲しい。生きていきましょう。」
神はそのひとり子を賜ったほどに、この世を愛してくださった。それは御子を信じる者が一人も滅びないで、永遠の命を得るためである。聖書 ヨハネ福音書3章16節
日本では、一年に3万人以上の人たちが自殺するという現実が、もう10年以上続いています。以前は1万数千人が亡くなる交通事故死のことを「交通戦争」と呼びました。今、この悲しい事態を何と言い表したら良いのでしょう。ほんとうに心が痛みます。
時々、どうしようもない現実の中で、生きていてもしようがない、生きる意味なんてどうでもいい、死んだ方がましだと感じてしまうことがあるかもしれません。インターネットでも自殺の仕方を教えたりするサイトがたくさんあります。それに、評論家の中には、自殺を肯定したり、「それもわかる」なんて語る人もいます。でも、決してそういう声になびかないでください。そう言っている人たちも、みんな生きているではありませんか。
人生には、確かにとても辛いことがあります。でも良いことが長く続かないのと同じように、悪いことも長くは続かないのです。人生というものは、良いことと悪いこと、嬉しいことと辛いことが、縦糸と横糸のように織りなされながらできていくものなのです。今の空しさ、今の厳しさが、あなたの最後の縦糸なのではないのです。
聖書は、「わたしが存在している目的は何か」という問いに対して、それは、神さまの愛を受けとめる器として存在しているのだと教えてくれます。あなたという存在そのものを大切にしてくださる神さまがいます。たとえ世の中が、能力や効率とかのことで、あなたを評価しなくっても、あなたは、あなたという存在そのもので価値があるのです。
神さまは、ひとり子イエス・キリストをくださったほどに世を愛されました。世とは「あなた」のことです。あなたにとって、自分の居ない「世」は無いに等しいでしょ?
どうか自分のいのちの重さと、価値の大きさに心をひらき、そのことを信じてください。大丈夫です。生きていく力は新しく生まれます。あなたは愛されているのです。
『GoodNewsしらかば』2010年10月号 巻頭言 ●牧師 吉高 叶
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