✣ 神々の罠 ✣
旧約聖書・士師記(ししき)は、モーセの後継者として活躍したヨシュアの死から始まります。年代は紀元前12-10世紀(今から3200年程昔)。選民イスラエルの歴史を伝えます。その頃、選民を統一する指導者はおらず、統治機構も首都と呼ぶ中心地もありません。イスラエル12部族は、それぞれ独立行動をしながら、ゆるやかな連合体として歩んでいました。
士師記は、その時代に神に選び立てられた12人の【士師:さばきづかさ】の活躍を伝えます。今月の説教では弱小部族(マナセ族)の勇者ギデオンに注目します(6-8章)。【士師】は中国語に由来、旧約原語では“ショフェテイーム(「治める」「さばく」)”が書名です。イスラエルに王制が誕生するまでのリーダーを【士師】と呼び、地方分権を基本とする部族体制と、その後の中央主権的王制との違いを表します。ヨシュア記を「勝利の書」とするなら、士師記は「失敗の書」とされます。理由は、選民が神(ヤハウエ)に背き、カナンの神々に心奪われ、堕落した姿を繰り返し伝えるからです。背信⇒さばき⇒懇願⇒救出。…喉もと過ぎれば再び背信!
堕落と悔い改めを繰り返す選民。彼らは他国を真似て諸部族を治める王を強く求めるようになります。しかし、士師記の強調点は、選民は何度も神を捨てたが、神はその民を見捨てなかったことです。
●9月3日 週報巻頭言 牧師 山田 幸男
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