✣ この人はできるかぎりのことをした ✣
ある女性が高価な香油の壺を割ってイエスさまの頭に注ぎました。それを目撃した人々は女性を激しく非難しました。香油を売れば大金を得られるし、そのお金でより多くの人々を助けることができるからです。しかし、女性はイエスさまのためだけにその行為をしたのです。それは、その時、彼女がイエスさまに対してできる精一杯の行為でした。
この女性と、彼女を非難する人々の姿は、現代人にも見受けられます。それは男性と女性の感覚の違いかもしれません。また、博学な学者先生と浅はかな庶民の違いかもしれません。ある本に、『…いわゆる文化人、評論家と呼ばれる人たちは、女性を非難した人々にそっくりです』とありました。『…評論家をプールサイダーと呼びます。自分は飛び込んで泳ぎもしないのに、プールのそばで泳ぐ人の泳ぎぶりをあれこれ批評する。言葉だけの専門家…この類の人種がかなり多い…』(佐伯晴郎著「明日をめざして」現代説教選集より)。
ところで、香油を注がれたイエスさまはどんな反応を見せたか。『イエスは言われた。「するままにさせておきななさい…わたしに良いことをしてくれた…この人はできるかぎりのことをした…前もってわたしの体に香油を注ぎ、葬りの準備をしてくれた。」』(マルコ14:6-8)。イエスさまは女性の行為を喜びました。間もなく十字架で死ぬことを自覚していたからです。高価な香油をイエスさまに注ぐ女性。それは行為なき抽象論に勝る。立派な可能性を論じるよりも、素朴な行為を実行する。そこに“神の祝福”がある。
●10月19日 週報巻頭言 山田 幸男
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