✣ 未完の走破 ✣
生命と命は重なりますが、生命保険といっても命保険とあまり聞きません。「いのち」には代替できない個性といういみが込められるように思えます。
『死ねない時代の哲学』(2020年)は、現在における「死」について考え込ませる本でした。著者(村上陽一郎)はカトリックの信徒ですが、安楽死(尊厳死)に深い理解を示しています。終末期医療における「いのちの質」を考えます。
「死ねない時代」という現実の中で、一方「コロナ」下では全世界で350万人の人が命を中断されています。日々、人の生と死が数字で表されます。数量になった「いのち」に不感症になりそうです。
いうまでもなくその一つ一つがかけがえのない「いのち」です。数値化できない「いのち」です。
3.11、東日本大震災のとき、100人の死があるのではない、一つの死が100あるのだ、と言った人がいました。
かけがえのなさが中断される死をめぐって、聖書が与える希望は何か。「十字架と復活」という言葉を先取りしないで、そこにたどり着く途のひとつをたどってみたいと思います。
●6月13日 週報巻頭言 板垣弘毅
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