✣ コヘレトからのエール ✣
「太陽の下、人は労苦するが/すべての労苦も何になろう」(コヘレトの言葉1:3)。
この問いは、現代のわたしたちに向けられた問いでもあると言えます。最近、働き方改革ということをよく聞きますが、それを実現できるのはほんの一部の人たちでしかなく、むしろ多くは、人件費削減で人員が減らされ、一人あたりの仕事量は増えているのが現実ではないでしょうか。そして、子どももおとなも、何かしら忙しい日々の中でゆとりをなくし、大切なものを失っているように思います。コヘレトの問いは、経済優先、効率主義、組織至上主義など、そして命の軽視の問題が深刻な日本社会への痛烈な批判とも受け取れます。人間性の回復が求められます。
「光は快く、太陽を見るのは楽しい」(11:7)。私たちの日常生活において覚えていたいことです。コヘレトは、創造主である神が、わたしたちに与えてくださっている命を尊び、子どももおとなも、喜び、楽しむ機会が与えられている時に、「喜び、楽しみなさい」と勧めます。神が与えてくださっている人生には、悲しみや苦しみがあり、空しさや無力を感じること、失望することもあります。しかし、それもまた「大切な信仰の体験」として、この人生を受け入れ、「今日を生きよ」と、コヘレトの言葉は、私たちを励ましているのではないでしょうか。
●11月22日 週報巻頭言 牧師 村上 千代
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