✣ さいわい ✣
「いかに幸いなことか」で始まる詩編。この書には、古代イスラエルの人々の祈りや賛美の言葉が150収められています。興味深いのは、神を賛美する歌、神を信頼する歌に比べて、深い嘆きの歌がとても多いということです。全体の約三分の一が「嘆きの歌」になっているようです。このことは、詩編には人間のあらゆる現実が表されているということなのでしょう。なぜなら、私たちの人生は、嬉しいことや喜ぶことよりも、辛いことや、苦しいこと、悲しいこと、悩むこと、怒ること、落ち込むことの方が多いと言っても過言ではないからです。それゆえ自分の苦しみ、悲しみ、怒り、嘆きを隠すことなく率直に神に訴える歌がたくさん収められている詩編は、これまで無数の人々の人生を支えてきましたし、今もこれからも、人々は詩編の祈りや賛美の言葉に支えられていくに違いありません。
詩編は、原典のヘブライ語では「賛美」として伝承されています。賛美という語感にふさわしくない「嘆きの歌」が圧倒的に多い詩編がなぜ賛美と呼ばれるのか、信仰の内実を探り、また「さいわい」を告げる神の祝福の言葉から始まる詩編が、私たちに指し示している神のみ旨のありかを探し求めていきたいと思います。
●10月7日 週報巻頭言 牧師 村上 千代
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