✣ 人間の尊厳 ✣
創世記16章と21章には、アブラハムの妻サラと、彼女に仕える「女奴隷」のハガルという二人の女性が登場します。当時、女性の存在意義は、家系を絶やさないように男子を産むことにあり、女性にとって不妊は最も辛いことでした。高齢に達したサラは神の約束を信じて待つことができず、自分の権力を行使し、ハガルによって自らの子を持つ企てを立てました。サラは、女性であるがゆえに抑圧されている自分を認識できなかったのか、被抑圧者として連帯するのではなく、別の女性の尊厳を無視し利用しました。しかし、それは当時の父権制社会では法的に許されている習慣でした。社会的な正しさの多くは支配構造を支えるためにあり、その必然的結果として弱い立場にある者の尊厳を脅かし、侵すものとなってしまいます。
先日、国会議員の女性がLGBT(性的少数者)の方たちを指して「彼ら彼女らは子供を作らない、つまり『生産性』がない」と述べ、問題になっています。この発言の背後には多くの支持者がいることは明らかです。生産性のあるなしで人間が分けられ、弱い立場の者が排除されるこの社会。教会はそれを否とし、命に意味があると言い切っていきたいと思います。
●8月5日 週報巻頭言 牧師 村上 千代
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