✣ ザアカイ―自由にされた者 ✣
「『ザアカイ、急いで降りて来なさい。今日はぜひあなたの家に泊まりたい』。ザアカイは急いで降りて来て喜んでイエスを迎えた」(ルカ19:5〜6)。一見とても不思議な物語である。ザアカイは、この時までイエスに対して、一言たりとも言葉も発していない。しかし、初めて聞くイエス様からの声に対して、自分自身を全く明け渡してしまった。「ザアカイ!」との呼びかけが、彼の心の一番深い所にストライクの直球で命中したのだろう。
ザアカイは決して特別な人間ではない。背が低いと言う劣等感からの反動なのか、努力もし、権力も富も手に入れたが、それで幸福になれたのではない。孤独であっただろう。恐らく権力や富は、自分で自分を支えなければならない「恐れ」の裏返しであった。しかし、ただイエスの招きが、彼をそんな「木の上」から降したのである。
私も木に上り、ため息をつきながら、傍観的に「救いなどこの世にあるものか」とどこかで思っていたのだと思う。しかし、「今日はぜひあなたの家に泊まりたい」と、この私目がけて救い主イエスの方から私の方に来て下さったのである。「あなたもアブラハムの子(神の祝福の子)だ」と宣言下さるこの主が、私に、神のものとされて生きる自由と幸いを与えて下さった。
●6月19日 週報巻頭言 神学生 丸山 勉(大泉バプテスト教会)
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