✣ いのちの水 ✣
ユダヤ滞在を終えたイエスさまは、弟子たちと共に故郷ガリラヤへ向かいます。ユダヤの指導者たちとの衝突を避けるために“サマリア”を通るルートを選びました。
当時のユダヤの人々は、サマリア山地を通過するルートは敬遠し、遠回りを承知でヨルダン川沿いを行くのが普通でした。
なぜなら、ユダヤ人とサマリア人の間には根深い対立があったからです。
ヤコブの井戸の近くで、弟子たちはイエスさまを一人残し、食物調達のために町へ向かいます。しばらくするとサマリア人の女性が「井戸の水」を汲みに来ました。イエスさまは、その女性に、「水を飲ませてください」と声をかけます。女性は驚きます。彼女はある事情を抱えていたので人目を避けて水を汲みに来たのです。加えてユダヤ人がサマリア人に親しく語りかけるのは、当時の常識では考えられないことでした。
ここで注目したいのはイエスさまの個人伝道の方法です。ユダヤ人はサマリア人とは《交際しない(「同じ器を使わない」の意味)》(ヨハネ4:9)とされた習慣を破り、軽蔑の対象である女性に、自ら「水を飲ませて欲しい」と求めます。真理を啓示するお方は、わけありの女性を上から目線で見下すようなことはしません。謙虚に接します。直後に二人の立場が逆転します。そして彼女に“いのちの水”が流れました。
●1月10日 週報巻頭言 山田 幸男
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