✣ 決断する ✣
ヨーロッパ精神文化の基盤はキリスト教にある。これは誰もが認めるところです。しかし、今から二千年昔、使徒言行録の時代は違いました。政治的にはローマ帝国が絶対的権威をもって人々を支配し、市民生活ではギリシア神話の神々をはじめ、山の神、海の神、さまざまな神々を人々は信じていました。理屈抜きに守らなければならない昔からのしきたりや言い伝えもありました。“福音の光”は、そのような所へ切り込んだのです。活躍したのは使徒パウロだけではありません。聖書に名前を記されていないキリスト者たちが、汗を流し、涙を流し、時には血を流して命を捧げ、“神の栄光”を勝ち取ったのです。ヨーロッパの優れた精神文化は、かつてのキリスト者たちの“祈りと犠牲”の上にあるのです。
私たちがここを見落として「欧米はいいなあ…キリスト教が根づいているから…」と羨(うらや)んでいるだけでは、この国に“福音”は広がりません。確かに、日本には天皇制、八百万(やおよろず)の神々、家の宗教やしきたり、古い伝統が“福音”の前に壁をつくっています。しかし、視点を変えれば、私たち日本人キリスト者は、今、まさに、“21世紀の使徒言行録”を生きているのです。
●4月26日 週報巻頭言 山田 幸男
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