✣ 譲 歩 〜負けるが勝ち ✣
歴史は繰り返すと言われます。聖書の物語も例外ではありません。創世記26章にはアブラハムの時代をビデオテープで再現するような話が記録されています(26:1-11)。アブラハムの息子イサクが妻を「妹」と偽る事件です。嘘はすぐにばれます。意外なことに、騙された王さまはイサクを処罰せず、すべての民にイサクと妻リベカを守るように命じます(26:11)。こうしてイサクはその場所に定住します。イサクは“神の祝福”を受けて、種を蒔けば“百倍の収穫”を得るようになります(26:12-13)。
ところが現実は厳しい。この“祝福”が民の心に「ねたみ」を起こす。事は“井戸の権利(水の確保は死活問題)”をめぐる争いに発展します。驚いたことに、イサクは自分に権利がある井戸を、攻めて来る者たちに明け渡す。自分の権利を主張しない。井戸を明け渡すと、また次の井戸を掘る。新しい井戸を奪われても、更に次の井戸を掘る。こうして、井戸を奪った者たちは、イサクが本当に“神に祝福された人”だと認めざるを得なくなり、最後は“和平条約”を申し出る(26:28-29)。今から四千年も昔の物語ですが馬鹿げた話でしょうか?
●8月17日 週報巻頭言 山田 幸男
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