【M・ニーメラーが見た夢の話】
戦後、国際平和運動の指導者として活躍したドイツのM・ニーメラー博士が、東京の日比谷公会堂でこのような話をされたことがありました。それは最後の審判の日の夢の話でした。正面には審判者なる神さまが座しておられ、その御前には幾千幾万という人々が自分の審きを待っているという実に壮大な夢でした。
勿論ニーメラー自身も神の審判を待つ一人でしたが、突然神さまが一人の誰かに尋ねられたのです。「そこにおるお前は、何かよきものを携えてきたか」と。
するとニーメラーの後ろから、あのベルリンのスタジアムで聞いたヒトラーの声がこう答えたのです。「わたしに多くの賞賛と数限りない反対がありましたが、誰もあなたのみ子イエスの福音を語ってくれた者がなかったからです。」ニーメラーの夢はここで終わったそうですが、この日から彼の今までの平和運動のありようが変わったというのです。
今までのように「ただヒトラーへの反対と批難だけでは新しいドイツを再建することはできない。むしろ教会がヒトラーとその追従者たちに福音を伝えることをしなかった教会の罪と責任を神のみ前に懺悔告白することから始めなければならない」というようにニーメラーは反省をしたというのです。(ヘブライ人への手紙 9: 27参照)
●8月11日週報巻頭言 井置利男
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