随想・クリスマスイブ

投稿日時 2011-12-19 18:18:24 | カテゴリ: メッセージ

             随想・クリスマスイブ
 小学生のとき、クリスマス・イブが怖かった。終業式が必ず12月24日で、通知表を渡される日だったから。1〜5までの数字が並んでいる欄もぞっとするが宿題をしていかなかった回数、ふざけて廊下に立たされた回数なども書かれていて、そちらの方がずっとヤバかった。
 けれど、クリスマス・イブは、ほんとうは大好きだった。イブ礼拝が終わると、みんなでキャロリングに出かけた。日赤病院の中庭で讃美歌を歌うと、真っ暗だった病棟の窓に次々と電灯が灯り、中から患者のみなさんが顔を出して聞いてくださった。最後にメリー・クリスマス!と叫ぶと、一斉にメリー・クリスマス!!という声が病院の中庭に響いた。とてもいい気持ちだった。それから信者さん宅を転々とし、歌っては上がり込んでお茶菓子をいただき、また次の家へと歌って廻った。終点は小森家(代表役員)と決まっていて、そこではおにぎりや豚汁が出た。小森を出る頃には、夜中の12時をとうに過ぎていた。そんなことが許されるイブが好きだったし、温かかった。
 そして、夜中に帰宅したぼくを、毎年待っていたのは、通知表を手にして、冷気を漂わせる母親だった。
             ●12月18日週報巻頭言 吉高 叶




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